今年度の入試もほぼ終了、来年度に向けて動き出していますね。カリキュラムは大切、計画的に進めて行くことが理想ですね。
わたしが指導している生徒たち、特に現高校2年生については。
英語について言えば、文法の勉強は終え、精読や長文読解に入る段階でしょうか。
もちろん、ここで進捗は異なりますが。
単語・文法・精読・長文と、4つのフェーズに分けて説明をしてきました。
今回は、精読・長文読解を進めるうえで大切な考え方。
よく生徒たちに話すことをテキスト化しました。
あくまでも私見です。
速読の技術 ~左から右に読み進める~
『受験英語の概観』の「精読」の項目でもお話ししましたが、英文を読むということは、英語の語順に従って、「左から右に読み進める」ということです。日本の英語教育が、1文1文の構造をしっかり取り、きれいな日本語にすることを重視しているということもあり、この「左から右に読み進める」という意識が希薄になりがちです。また、当然のことながら、どのようにして「左から右に読み進める」のかという方法論についても、指導されないのが現状です。そこでここでは、その方法論をお話しします。
*意味のまとまりをつかむ
『受験英語の概観』では、簡単な例文を用いて、「英語と日本語の語順の違い」、「意味のまとまりをつかむとはどういうことか」について簡単に説明しました。ここでもう一度、復習しておきます。
★前から読んでいく(長文読解への準備)
英語をきれいな日本語に訳そうとするならば、おおまかに文をいくつかのかたまりに分けた上で、まず主語を訳し、その後、後ろから訳していけばたいていの場合うまくいきます。
以下の例文を見てみましょう。
I / went / to the library / with my friend / yesterday / in order to study English.
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
①私は⇒⑥英語を勉強するために⇒⑤昨日⇒④友達と一緒に⇒③図書館へ⇒②行った
確かにきれいに訳せます。しかし、私たちが日本語を読む際、わざわざこのように後ろから返って読むでしょうか?つまり、英語を読む際にも、日本語を読むときと同じように前から読めなければいけないのです。これが出来なければ、いつまで経っても英語を速く読めるようにはなりません。言い換えると、構造を取ろう、と最低一度は読み返すので、前から読む場合と比べて、どんなに速くとも2倍はかかってしまうのです。そこで、以下のように読み進むことが求められるのです。
①私は⇒②行った⇒③図書館へ⇒④友達と一緒に⇒⑤昨日⇒⑥英語を勉強するために
つまり、英語はSVの後に次々に情報が加えられていく構造なのです。よって、読んでいく際には、SVを的確に捉えた上で、その後の情報に注意を払いながら読み進めていけばよいのです。イメージ化すると以下のようになります。
①私は⇒②行った→ (どこへ?) ⇒③図書館へ→ (誰と一緒に?)⇒④友達と …
↖ ↗
頭の中で考える
また、上の文では文を6つのかたまりに分けましたが、初めからかたまりに分けることは難しいでしょう。そこで、最初のうちは1単語ずつ読み進めていって下さい。それを繰り返すうちに、だんだんと「意味のまとまり」が見えてくるようになります。
(『受験英語の概観』より引用)
思い出したでしょうか?このように、英文を読む際には、「意味のまとまり」をつかみ、「左から右に読み進める」ことが大切なのです。では、「意味のまとまり」とは具体的にどのようにつかんでいったらよいのでしょうか。「意味のまとまり」で分ける際に便利なのが、スラッシュを入れることです。
*スラッシュを入れる場所
スラッシュを入れる場所にはルールがあります。このルールに従ってスラッシュを入れることにより、自然と「意味のまとまり」を作ることができます。では、そのルールを説明します。
①文の要素で切る ex. I / play / the piano / everyday.
②前置詞・接続詞の前で切る ex. He / went / to the library / and studied / English.
③カンマの前後で切る ex. Tom / ,who / is / an American, / lives / in Tokyo.
④後置修飾部分の前で切る ex. This / is / the park / which I / visited / two years ago.
ルールはこの4つだけです。このルールを頭に入れ、自分でスラッシュを入れられるようになることが大切です。
*補足 ~節の理解に役立つ記号~
名詞節は[ ]でくくる ex. I think [ that he is honest ].
形容詞節は< >でくくる ex. She likes him < who plays soccer very well >.
副詞節は( )でくくる ex. I will not go out ( if it rains tomorrow ).
以上のルールに従って、実際にスラッシュ・カッコを入れると、以下のようになります。
Sally / arrived / early. ( As / she / walked / around the old house, ) she / couldn’t help feeling sad / because of what was about to happen. It / was / almost a year ( since her dear grandmother / had passed away / in this house / at the age / of ninety-two. ) The family/ had / very much / wanted / to keep / all her things. Unfortunately, the family business/ had failed / and left / them / with heavy debt. In the end, the bank / had forced / the family / to have / an auction sale / to repay / their debts. The auction / was / to be held.
(出典:センター本試’00)
ルールに従ってスラッシュ・カッコを入れると、上記のようになります。理解できたでしょうか?
では、「意味のまとまり」ごとに訳をつけてみます。
Sally / arrived / early . ( As / she / walked / around the old house, ) she /
サリーは 到着した 早くに 時 彼女が 歩いていた その古い家の周りを 彼女は
couldn’t help feeling sad / because of what was about to happen. It / was /
悲しまざるを得なかった 今にも起こりつつあることのために それは であった
almost a year ( since her dear grandmother / had passed away / in this house /
ほぼ1年 彼女の敬愛する祖母が 去った この家を
at the age / of ninety-two. ) The family / had very much wanted / to keep /
年に 92歳の その家族は とてもしたかった 保つことを
all her things. Unfortunately , the family business / had failed / and left /
全ての家のものを 不運にも 家族の商売は 失敗した そして残した
them / with heavy debt . In the end, the bank / had forced / the family /
彼らに 多額の借金を 結局 銀行は 強制した その家族に
to have / an auction sale / to repay / their debts . The auction / was to be held.
持つことを オークションを 返済するために 彼らの借金を そのオークションは 行われた
このように左から右へ読み進めていくのです。確かに、日本語だけを読むときれいな日本語ではありません。しかし、何を言っているのか理解はできるはずです。『受験英語の概観』でも触れましたが、英語と日本語では言葉の語順が全く異なります。よって、英語を読む際、いちいちきれいな日本語に並び替えてから理解しようとすると、それだけ多くの時間がかかってしまいます。また、原点にかえって、英語がコミュニケーションのツールであることを考えれば、相手が英語で言ったことを、頭の中で語順を変え日本語に直し理解しているようでは、スムーズなコミュニケーションは成り立たなくなってしまうでしょう。このようなことを頭に入れて、英文を左から右に読めるように練習していくことが大切です。
では、どのように練習したらよいのでしょうか?
*音読
英文を左から右に読めるようになるための1番の方法は、音読をすることです。自分が、学校や塾、自習で完全に理解した英文を何度も何度も音読するのです。最初はゆっくりで構いません。「意味のまとまり」ごとにしっかりと内容がつかめているかを確かめながら読んでいきましょう。何度も音読していると、だんだんとスピードが速くなり、いちいち日本語に訳さなくても内容を理解できるようになります。これを「直読直解」と言います。つまり、「日本語を介さずに英語を英語として読んでいる」ということです。これがとても大切です。今の段階では「そんなの無理」と思うかもしれません。しかし、練習すれば必ずできるようになります。音読は、数多くの英語指導者・専門家が進めているやり方であり、実際、わたしも音読のおかげで、全然読めなかった英語がかなり読めるようになりました。ぜひ、実践してみてください。
少し偉そうですが、以上です。